痔の種類と症状
痔には大きく分けて3つの種類があります。
①痔核(いぼ痔) ②裂肛(きれ痔) ③痔瘻(痔ろう)
①痔核(いぼ痔)
痔の中でもっとも多く、血管の一部がこぶ状にむくんだものです。初期は出血が起こります。一般には、「いぼ痔」とも呼ばれます。歯状線より上(直腸)にできたものを内痔核、下(肛門)にできたものを外痔核と呼びます。
痔核の主な症状
・排便時に、血が出た。
・排便後、便が出きっていない気がする
・肛門に、違和感がある
・肛門のまわりに、イボがある
内痔核
内痔核はその腫れ方の程度により、4つに分類されます。
分類 | 主な症状 | 主な治療法 |
---|---|---|
Ⅰ度 | 排便時に出血するが、脱出しない | 薬(軟膏や坐薬)による治療 |
Ⅱ度 | 排便時に脱出するが、自然に戻る | 薬(軟膏や坐薬)による治療 |
Ⅲ度 | 排便時に脱出し、指で押し込まないと戻らない | 薬による治療または手術療法 |
Ⅳ度 | 排便時に関係なく脱出しっぱなし | 手術療法 |
当院では、脱出する痔核を改善する硬化療法として有効なジオン・ALTA(アルタ)療法による治療が日帰りでできます。
※当日に処置や日帰り手術が可能な場合もありますので、ご希望の方は事前にお問い合わせください。
外痔核
主な症状 | 主な治療法 |
---|---|
・突然お尻が痛みだし、肛門の出口にイボが出てきた ・排便に関係なく出血し、腫れて痛む |
薬(軟膏や坐薬)による保存治療 |
激しく痛む痔核もあります。
- 血栓性外痔核
- 肛門のまわりにあずき大の黒っぽい硬イボがある → 血栓摘出術(日帰り)
- 嵌頓(かんとん)痔核
- 内痔核と外痔核が腫れ上がり、もとに戻らなくなる → 痔核嵌頓整復術(日帰り)
※当日に処置や日帰り手術が可能な場合もありますので、ご希望の方は事前にお問い合わせください。
②裂肛(きれ痔)
肛門の皮膚が切れたり裂けたりしたもの。痛みがあり、血が出ることも。一般には、「切れ痔」とも呼ばれます。
主な症状 | 主な治療法 |
---|---|
・排便時に痛みがある ・排便後に、ジーンとした痛みが残る ・お尻を拭いた紙に血がつく ・便に鮮血がつく ・便が細くなる |
薬(軟膏や坐薬)による保存治療 |
③痔瘻(痔ろう)
下痢などがきっかけで肛門のまわりに膿がたまり、肛門腺が炎症を起こして膿が外に流れ出るトンネルができた状態。発熱や痛みを起こします。一般には、「あな痔」とも呼ばれます。
主な症状 | 主な治療法 |
---|---|
・お尻がはれて激しく痛む ・肛門から膿みが出てくる |
手術(日帰り)が必要となることが多い |
症状によりますが、手術(日帰り)が必要となることが多いです。膿の出口となった皮膚の傷口がふさがっても、一旦できたトンネルはなくなりません。症状が落ち着いても治ったわけではなく、痛みや腫れが再発することがあるため油断は禁物。まれにですが、10年以上治療せず放置しておくと「ガン化」することもありますので、早めの受診をおすすめします。
似ている症状
- 肛門周囲膿瘍(肛門のまわりに膿がたまる状態)
- 浅いところの膿瘍の症状:痛みが強い、固く触れる
- 深いところの膿瘍の症状:腰の鈍い痛み、微熱とだるさ、触れないことも多い
- → 切開して膿みを出す 肛門周囲膿瘍切開術(日帰り)
- 深いところの膿瘍の症状:腰の鈍い痛み、微熱とだるさ、触れないことも多い
※当日に処置や日帰り手術が可能な場合もありますので、ご希望の方は事前にお問い合わせください。
痔は、放っておいても命に関わることはありませんが、ある段階を過ぎると自然に治らなくなります。また、痔だと思っていたら実は違う病気だった、ということもあるので、気になる症状があったら早めに相談してください。